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続・本日のポポ田さん
「おい、なあ、ちょっと」
 ポポッコのポポ田さんが、ポッポのポポ田さんに話しかけます。

「なんだ、ポポ田」
「なんか、バトルっぽいんだけど」
「え、マジ? 誰と?」
「ホワイトとかいう人らしいよ」
 ポポッコのポポ田さんとポッポのポポ田さんが話しているところに、ヒポポタスのポポ田さんが首を突っ込みます。

 ホワイト、という名前にポポ田さんたちは聞き覚えがありませんでしたが、バトルを挑まれたら受けるっきゃありません。
 ポポ田さんたちは一致団結して、ホワイトという人を返り討ちにすることにしました。


 ホワイトが しょうぶを しかけてきた!

「よし、じゃあ、一番手は俺な」
 ずい、とポッポのポポ田さんが進み出ます。

「うおーし、気張って来いよー」
「さっくり負けちまえー」
 ポポッコのポポ田さんとヒポポタスのポポ田さんが、ポッポのポポ田さんを応援します。
 ポポ田さんの「負けちまえ」はホワイトに向けられたものだと、ポッポのポポ田さんは解釈しました。

 ホワイトは おっちゃんを くりだした!

「……え、何あれ」

 三匹の声がハモりました。
 それもそのはず、出てきたポケモンに「おっちゃん」のニックネームが似合い過ぎていたのです。

 一本角に、波々した形の髪の毛、青い顔。
 下半身と覚しき場所は雲になっていて、そこからフレイルの先端を並べてつないだような尻尾が生えています。
 おヒゲが生えてて腕組みしてて、なんだか偉そうなポケモンです。

「まあ、相手が誰だって全力を尽くすぜ」
 というわけで、ポポ田さんは攻撃体制に入ります。

「いくぜ、俺の新技、必殺! ぼうふ……」

 おっちゃんの ほうでん!

 尻尾の先端から迸った雷撃が、的確にポポ田さんを捕らえます。
 苦手な電撃を食らって、ポポ田さんはあえなくダウンしました。

「よう、カッコ悪かったぜ、ポポ田」
「うるせいやい」
「次は、俺だな」
 いさかいもそこそこに、ポポッコのポポ田さんが二番手として登場します。

 ホワイトは おっちゃんを ひっこめた!

「おろろ?」

 ホワイトは おじちゃんを くりだした!

 三匹は、その場でコケました。
 それもそのはず、出てきたポケモンに「おじちゃん」のニックネームが似合い過ぎていたのです。

 二本角に、くるんくるんした形の髪の毛、緑の顔。
 下半身と覚しき場所は雲になっていて、そこから勾玉を並べてつないだような尻尾が生えています。
 おヒゲが生えてて腕組みしてて、なんだか偉そうなポケモンです。
 さっき同じようなのを見た気がしますが、きっと気のせいです。

 ポポ田さんがポケモン交換の間に、ソーラービームのチャージを完了させます。

「俺に時間を与えたことを後悔させてやる! いくぜ、必殺のソーラービー……」

 おじちゃんの エアスラッシュ!

「うっそん」
 尻尾の先から放たれた風の刃が、ポポ田さんをバシバシと切り裂きます。
 苦手な飛行タイプの技を受けたポポ田さんは、せっかくチャージしたエネルギーを霧散させて、ダウンしました。

「やれやれ、ここは俺が出るしかないな」
「がんばれー」
 先にやられた二匹のポポ田さんが、やる気なさそうにヒポポタスのポポ田さんを応援します。
 そんなことは歯牙にもかけず、ヒポポタスのポポ田さんが三番手として進み出ます。

 途端に、ポポ田さんの特性・すなおこしが発動して、辺り一面に砂が飛び始めました。
 いつものことなのですが、砂嵐に耐性のない残り二匹のポポ田さんは不機嫌そうです。

 ホワイトは おじちゃんを ひっこめた!

「またあ?」

 ホワイトは おやじさまを くりだした!

 三匹は、もう何も言いませんでした。

 三本角に、鼓みたいな形の髪の毛、赤い顔。
 下半身と覚しき場所は雲になっていて、そこから枝を落とした木の幹のような尻尾が生えています。
 おヒゲ以下略。
 デジャヴを感じます。しかし、あくまでデジャヴです。

「………………相手が誰だろうと関係ない! いくぜ、必殺、じしん攻撃!」

 ポポ田さんが前足を振り上げ、どおん!! と地面に振動を与えます。
 バトルフィールドとやらはグラグラ揺れて、地面に足を付けているポケモンはひとたまりもありません。

 こうかが ないようだ……

「まじすけ?」

 おやじさまの じしん!

 相手のポケモンが尻尾の先を地面に打ち据えると、ポポ田さんが起こしたのの数倍はあろうかという揺れが辺りを襲いました。
「ぎゃあ」
 ポポ田さんは知りませんでしたが、相手のポケモンのじしんは、特性・砂の力とポポ田さんが起こした砂嵐によって強化されていました。
 そんなものを食らったポポ田さんは、あっさりやられてしまいました。

 ポポ田さんたちは、負けてしまいました……


「あーあ、やられっちまった」
「まあいいさ。明日からがんばれば」
「そうだなー」
 さっき負けたのはどこへやら、回復が終わったポポ田さんたちは、いつも通りの元気を取り戻しています。
「ちょっと気になるんだけど」と、ポッポのポポ田さんが首を傾げます。

「どうした? ポポ田」

「あの三匹で人気投票したら、誰が一番になるのかと思ってさ」
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