長い小説短い小説漫画トップ案内ブログリンクweb拍手
まだまだタマタマ
 ある所に、仲の良いタマタマがおりました。彼らはいつも六個で一匹でありました。
 ある日、六個のタマタマが日向ぼっこをしていますと、

 ガッ、ピュ――

「一個取られたな」
「ああ、取られた」
「ピジョンだな」
「ああ、ピジョンだな」
「食べられるだろうな」
「あいつともお別れか」
「残念だ」
「残念だな」
「しかし、一個欠けるとどうも落ち着かないな」
「ああ、落ち着かない」

 五個のタマタマが落ち着かないでおりますと、そこに一匹のトゲピーがやってきて、彼らの輪の中に入りました。
 すると、あら不思議。
 タマタマたちは一個欠けたのもどこへやら、すっかり落ち着いた気分になりました。

「あいつのことは残念だが、これはこれで悪くない。これでやっていこう」

 というわけで、彼らは五個のタマタマと一匹のトゲピーで、一匹のタマタマということになりました。

〜〜〜

 ある日、五個のタマタマと一匹のトゲピーで昼寝をしておりますと、

 ガッ、ピュ――

「また取られたな」
「ああ、二度目だ」
「またあのピジョンか」
「前のピジョンだな」
「俺たちに恨みでもあるのか」
「しかし落ち着かない」
「ああ、落ち着かないな」

 四個のタマタマが落ち着かないでおりますと、そこに一匹のピンプクがやってきて、彼らの輪の中に入りました。
 すると、あら不思議。
 タマタマたちは二個欠けたのもどこへやら、すっかり落ち着いた気分になりました。

「あいつのことは残念だが、これはこれで悪くない。これでやっていこう」

 というわけで、彼らは四個のタマタマと一匹のトゲピーと一匹のピンプクで、一匹のタマタマということになりました。

〜〜〜

 ある日、

 ガッ、ピュ――

「またか」
「まただな」
「落ち着かない」

 三個のタマタマが落ち着かないでおりますと、そこに一匹のヒマナッツがやってきて、彼らの輪の中に入りました。

「あいつのことは残念だが、これはこれで悪くない。これでやっていこう」

 というわけで、彼らは三個のタマタマと一匹のトゲピーと一匹のピンプクと一匹のヒマナッツで、一匹のタマタマということになりました。

〜〜〜

 ガッ、ピュ――

「またか、落ち着かない」

 二個のタマタマが落ち着かないでおりますと、そこに一匹のミノムッチがやってきて、彼らの輪の中に入りました。

 というわけで、彼らは二個のタマタマと一匹のトゲピーと一匹のピンプクと一匹のヒマナッツと一匹のミノムッチで、一匹のタマタマということになりました。

〜〜〜

 ガッ、ピュ――

「またか」

 一個のタマタマが落ち着かないでおりますと、そこに一匹のピジョンがやってきて、

 ガッ、ピュ――

 最後の一個もひっつかんで行きました。

 一匹のトゲピーと一匹のピンプクと一匹のヒマナッツと一匹のミノムッチは顔を見合わせ、それから、他人同士みたいに、挨拶もせずにバラバラに散って行きました。
ページ上部へ▲
inserted by FC2 system