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ゴローニャの神話
 最初、この世界には何もありませんでした。海を空を大地を草木を動物を作ったのは神様でした。神様はポケモンを作り、最後に自分の姿に似せて人間を作りました。

 神様は、世界で一番高い山の上から、世界を見下ろしていました。そこから眺めるにつけ、自分に似た人間が我が子のようにかわいく思えてなりません。そこで、贈り物をしようと思いました。
 神様は近くにいた猫のポケモンを呼び寄せて言いました。
「ゴローニャよ、今から人間のところへ行って、こう伝えなさい。『この石を食べなさい。そうすれば、石のように永久に生きることができるでしょう』と」
 そうして猫のポケモンに石を持たせました。
 この猫のポケモンは、ごろごろにゃあと鳴くのでゴローニャといいました。ゴローニャは、了解して人間たちのいるところへ駆けていきました。
 が、途中で気が変わって、人間のところまで行くのが面倒になりました。面倒になると次はお腹が空いてきました。ゴローニャはあろうことか、神様に持たされた石を食べてしまいました。

 贈り物を食べてしまったゴローニャに、神様は怒りました。しかし、ゴローニャにもう一度、チャンスを与えました。
「今から人間のところへ行って、今度こそちゃんと伝えなさい。『一年に一度、古くなった皮を脱ぎなさい。そうすればいつでも新しい皮を纏って、永久に生きることができるでしょう』と」
 ゴローニャは人間のところへ向かいましたが、やっぱり面倒になりました。そして、神様の言伝を自分のものにして、自分が一年に一度、古くなった皮を脱ぎ捨てることにしました。

 神様はいよいよ怒りまして、ゴローニャに罰を与えました。
 ゴローニャはかわいい猫の姿から、食べたのと同じ無骨な岩の姿にされました。しかも丸い岩の形で、神様のいる山を登ろうとしても、途中でどうしても転がってしまう形にされました。
 ゴローニャは、流石にこれはまずいと気付いて神様の元へ謝りに行こうとしますが、丸い岩の形では、神様のいる山の頂上まで登れません。
 けれどもゴローニャは諦めきれず、一年に一度の脱皮を繰り返しながら、いつか神様にまみえる日を夢見て、今も山を登ろうとしては転がり落ちているのだそうです。

 一方、神様の石も食べられず、言伝も横取りされてしまった人間たちは、そのうち皮が古びて死ぬようになりました。
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